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結城VS依田、8年ぶりの決戦

囲碁界の夏を彩る「碁聖戦」依田紀基碁聖(39)に挑戦するのは棋聖戦での激闘の記憶が新しい結城聡九段(33)だ。結城は棋聖戦こそ3勝4敗で惜しくも敗れたが、その後の勝ちぶりが凄まじく、棋聖戦以降国内ではわずかに2敗したのみ。棋聖戦という大舞台を経験したおかげで、普段の碁をのびのび打てるようになったという。それが効を奏したのか挑戦者決定戦では、棋聖戦で敗れたばかりの羽根直樹棋聖にしっかりと借りを返して、再び檜舞台にあがってきた。結城は過去2回碁聖に挑戦しているが、今期は過去二回とは明らかに雰囲気が違っている。
一方の依田は、昨年本因坊の奪取に失敗し、4年間守り続けた名人を失ってから気落ちしたのか調子は下降気味だ。孤塁となったこの碁聖位はなんとしても守りたいところだろう、ここで簡単にタイトルを明け渡すようだと、しばらく第一線から遠ざかる恐れさえあり、依田にとっても崖っぷちの正念場だ。
過去のデータは15勝6敗と依田がリードしており、90年の新人王戦・97年の碁聖戦と、二回あった番碁も依田が制している。しかし最後に二人が対局したのは02年と2年半以上が過ぎており、02年に打たれた2局はいずれも結城が勝っている。
 81年の橋本昌二王座以来七大タイトルから遠ざかっている関西棋院に結城が待望の初タイトルをもたらすのか、依田が孤塁となった碁聖を死守して三連覇を果たすのか、今後を占う大一番だ。
 挑戦手合い開始前の不調はどこへやら、ふたを開けてみれば依田碁聖の連勝スタートで、結城挑戦者は早くもカド番に追い込まれた。内容的にも、依田碁聖は挑戦者の得意な接近戦でのねじり合いを制しており、三連覇をぐんと引き寄せている。棋聖戦では最終局まで激戦を繰り広げ、ファンをうならせた結城だが、このまま3連敗では寂しすぎる。結城はここで意地を見せてくれるだろうか?

依田紀基】
昭和41年2月11日生。岩見沢市出身。安藤武夫七段門下。昭和55年入段、平成5年九段。 昭和59年に18歳で名人リーグ入り。新人王5期、新鋭トーナメント2期、NEC俊英も1期制して若手棋戦を制して頭角を表す。平成7年に第33期十段戦で大竹英雄十段をから十段位を奪取(以降2連覇)して初の大タイトルを獲得すると、翌年には碁聖(以降3連覇)も獲得して十段・碁聖の二冠を併せ、トップ棋士の地位を固める。平成12年に4連覇中の趙治勲から名人を奪取。趙時代に終止符を打った立役者の一人となる。以降名人4連覇を果たし、碁界第一人者としての地位を固めた。第1回の三星火災杯優勝やNHK杯は史上第二位の5回優勝など早碁や国際棋戦でも安定した好成績を残しており、タイトル獲得数は計33。棋道賞は昭和56年に敢闘賞で初受賞したのをはじめ優秀棋士賞4回など計20回。平成15年秀哉賞を初受賞。女流棋士原幸子は夫人。
【結城聡】
昭和47年2月11日生まれ、兵庫県出身。佐藤直男九段門下。59年入段、平成9年九段。平成5年に第18期新人王を獲得。平成7年には本因坊リーグで挑戦者決定プレーオフに進出するなどリーグ在籍は4回、名人リーグ在籍は1回。棋聖リーグ在籍は2回で、第29期棋聖戦では挑戦者となり、羽根直樹棋聖に3勝4敗で敗退したことは記憶に新しい。碁聖戦も平成9年の22期と14年の27期に挑戦者になっているがいずれも敗退した。早碁棋戦も得意としており、早碁選手権や鶴聖、JAL早碁などで優勝している。
≪第30期碁聖戦挑戦手合五番勝負日程および結果≫
日時 勝者 敗者 結果
第1局 7月7日
広島県福山市福山ニューキャッスルホテル
△依田紀基碁聖 結城聡九段 133手完、
黒中押し勝ち
第2局 7月15日
石川県野々山市町文化会館フォルテ
依田紀基碁聖 △結城聡九段 156手完、
白中押し勝ち
第3局 7月26日
鹿児島県鹿児島市鹿児島サンロイヤルホテル
     
第4局
未定 東京・市ヶ谷日本棋院本院「幽玄」
     
第5局 6月27・28日
東京・市ヶ谷日本棋院本院「幽玄」
     

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