日程及びプロフィール
第5局
第6局
第7局
  2003年末から2004年初頭にかけて、山下啓吾と羽根直樹は天元戦と棋聖戦を舞台に合わせて十二番勝負の死闘を演じた。その時既に若手四天王の中に数えられ、天元のタイトルを持っていた羽根だが、天元を3勝2敗で防衛し、続く棋聖戦で史上初めて3連勝3連敗後の第7局に勝ってタイトルを奪取。棋聖・天元の二冠を保持したことによって、一流棋士の座を揺ぎ無いものにした。
  一方、その時は羽根の引き立て役に終わった山下も、翌年すぐに天元戦で再挑戦を果たし、羽根から天元位をもぎとることで、その借りの半分を返している。棋聖戦のほうは挑戦者決定戦で敗れて連続出場はならなかったが、今年再びリーグを制し、前期に敗れた結城にも借りを返して2年ぶりに
七番勝負の舞台に帰ってきた。本因坊戦と十段戦以外は全ての番碁を経験している山下。タイトルは防衛よりも奪取を得意とする。かたや羽根が挑戦手合に登場したのは棋聖戦と天元戦のみ。しかし、未だ一度しか挑戦手合での敗退を知らない。一度つかんだタイトルは間単に手放さない羽根。自身のため、そして地元のファンのためにも、この大タイトルは中部総本部にとどめておきたいところだ。
 挑戦者の3連勝で、早くも羽根棋聖はカド番に追い込まれた。七番勝負の開幕3連勝はこれで3回連続だ。昨夏の本因坊戦は高尾紳路が張栩相手に3連勝。結果4勝1敗でタイトルを奪取した。昨秋の名人戦は張栩が小林覚に3連勝。これは小林が3勝を返して第7局にもつれ込んだ。
 ここまで「勢いの山下、シーソーゲームの羽根」と予想してきた。羽根は一昨年の天元・棋聖ダブルタイトルマッチで山下を立て続けに降したが、それ以降山下には8連敗が続いている。現時点ではスコア的にも、勢いも、山下が圧倒的に有利だ。
 ただし、内容的には第1局は羽根の好局だったし、第3局も評判はよかった。第2局は山下の名局といわれたが、封じ手までは羽根の構想通り細かい碁になりそうだった。山下が勢いにのってはいるが、羽根の調子が悪いと言う感じではない。
 強靭な精神力を誇る羽根。棋聖戦を盛り上げるためにも、開き直って一つ一つ返していくよりない。
 
 
日程
勝者
敗者
結果
第1局 1月15・16日
ドイツ・ベルリン「インターコンチネンタルホテル」
▲ 山下敬吾
  羽根直樹
179手完、
黒中押し勝ち
第2局 2月1・2日
岐阜県下呂温泉「水明館」
  山下敬吾
▲ 羽根直樹
244手完、
白6目半勝ち
第3局 2月8・9日
京都府舞鶴市「ホテルマーレたかた」
▲ 山下敬吾
羽根直樹
242手完、
黒1目半勝ち
第4局 2月22・23日
熊本県熊本市「ホテル日航熊本」
  山下敬吾
▲ 羽根直樹
243手完、
白2目半勝ち
第5局 3月1・2日
富山県庄川温泉「ゆめつづり」
第6局 3月16・17日 
静岡県小山町「経団連ゲストハウス」
第7局 3月22・23日 
福島県 会津若松市「今昔亭」
 
 昭和51年8月14日生まれ、三重県出身。平成3年入段、14年九段。平成7年に新鋭戦優勝。平成11年第40期王冠戦優勝、第25期名人戦リーグ入り、平成12年には第56期本因坊戦リーグ入りも果たす。平成11・12年の二年連続で新人王戦にも決勝進出を果たすが、どちらも決勝で山下敬吾に敗れた。平成13年、第27期天元戦の挑戦者となり、初の七大タイトル挑戦手合に出場。3−1で柳時熏天元を破って初タイトルを獲得した。以降趙善津九段、山下敬吾の挑戦を退けて3連覇を達成。初タイトルの同年第26期棋聖戦リーグ入りも決めた。平成16年第28期棋聖戦で挑戦者となり、初めて七番勝負の舞台を踏む。山下敬吾棋聖を相手に、史上初めて3連勝3連敗後の第7局を制してタイトル獲得。翌年結城聡九段の挑戦を受け、4勝3敗で防衛に成功した。他にも第49回NHK杯で準優勝。第11期阿含桐山杯で優勝。中部総本部所属棋士のタイトルである王冠位を4期獲得している棋道賞は平成7年新人賞。
平成8年と9年に最多勝利賞。平成11年連勝賞、平成13年優秀棋士賞、最多対局賞。平成15年優秀棋士賞。平成14年第39回秀哉賞受賞。ほか土川賞3回受賞。 羽根泰正九段は実父。しげ子初段は夫人。
 
 
昭和53年9月6日生。北海道旭川市出身。菊池康郎氏に師事。平成5年入段、15年九段。 昭和61年に8歳で小学生名人になり、緑星学園に入会。平成10年に第23期新人王戦で優勝し、以降4連覇。平成11年第14期NEC俊英トーナメント優勝。12年第30期新鋭トーナメント優勝。同年第25期碁聖戦で、小林光一碁聖に挑戦、3勝2敗で初のビッグタイトルを獲得した。平成13年には第27期名人リーグ入り。平成14年には本因坊リーグ、棋聖戦リーグにもそれぞれ入り、そのまま第27期棋聖戦で挑戦者となる。年が明けての初の七番勝負で王立誠棋聖を4勝1敗で破り、史上最年少で棋聖位を獲得した。同じく平成15年に第28期名人戦で挑戦者になったが、依田紀基名人に敗れた。また第29期天元戦で挑戦者になったがこちらも羽根天元に2勝3敗で破れた。平成16年の棋聖戦で羽根の挑戦を受け、3連敗の後に3連勝を返したが、第7局で敗れた。しかしその年末には30期天元戦で二年連続挑戦者になり羽根天元を3-0で破って天元位を獲得した。
同じ時期に第52期王座戦で挑戦者になったが張栩王座に1勝3敗で敗退。翌53期も二年連続で第53期王座戦挑戦者となるもまたも張栩王座の前に3連敗で挑戦に失敗している。また第31期天元戦で河野臨七段の挑戦を受けてフルセットの熱戦の末タイトルを失った。今期棋聖リーグではBリーグを4勝1敗で抜けて、挑戦者決定戦では好調結城聡九段に勝って挑戦権を獲得した。 棋道賞は平成9年勝率第一位賞、最多対局賞、新人賞、平成10年最多勝利賞、連勝記録賞、最多対局賞。平成11年勝率第一位賞。平成12年優秀棋士賞、最多勝利賞。最多対局賞。平成15年最優秀棋士賞。平成16年最優秀棋士賞、最多対局賞。平成12年第38回秀哉賞、第18回ジャーナリストクラブ賞受賞。平成15年旭川市民栄誉賞受賞。

 

 
日時
棋戦
勝者
結果
敗者
1998年9月19日
第14期NEC俊英戦2回戦
山下敬吾 六段
黒4目半
羽根直樹 七段
1999年9月20日
第24期新人王戦決勝1
山下敬吾 新人王
黒中押
羽根直樹 七段
1999年10月4日
第24期新人王戦決勝2
山下敬吾 新人王
白中押
羽根直樹 七段
2000年6月19日
第39期十段戦本戦1
羽根直樹 八段
白半目
山下敬吾 六段
2000年9月18日
第25期新人王戦決勝1
山下敬吾 新人王
白中押
羽根直樹 八段
2000年9月27日
第25期新人王戦決勝2
山下敬吾 新人王
黒中押
羽根直樹 八段
2001年6月4日
第24期鶴聖戦1回戦
羽根直樹 八段
黒半目
山下敬吾 碁聖
2001年7月12日
第40期十段戦本戦2
山下敬吾 碁聖
白半目
羽根直樹 八段
2002年6月20日
第58期本因坊戦三次
山下敬吾 七段
白中押
羽根直樹 天元
2003年8月14日
第42期十段戦復活戦
山下敬吾 棋聖
黒中押
羽根直樹 天元
2003年10月30日
第29期天元戦挑戦1
山下敬吾 棋聖
黒1目半
羽根直樹 天元
2003年11月20日
第29期天元戦挑戦2
羽根直樹 天元
黒4目半
山下敬吾 棋聖
2003年11月27日
第29期天元戦挑戦3
羽根直樹 天元
白中押
山下敬吾 棋聖
2003年12月4日
第29期天元戦挑戦4
山下敬吾 棋聖
白中押
羽根直樹 天元
2003年12月18日
第29期天元戦挑戦5
羽根直樹 天元
白6目半
山下敬吾 棋聖
2004年1月15日
第28期棋聖戦挑戦1
羽根直樹 天元
黒中押
山下敬吾 棋聖
2004年1月28日
第28期棋聖戦挑戦2
羽根直樹 天元
白中押
山下敬吾 棋聖
2004年2月4日
第28期棋聖戦挑戦3
羽根直樹 天元
黒3目半
山下敬吾 棋聖
2004年2月18日
第28期棋聖戦挑戦4
山下敬吾 棋聖
黒半目
羽根直樹 天元
2004年2月25日
第28期棋聖戦挑戦5
山下敬吾 棋聖
白中押
羽根直樹 天元
2004年3月10日
第28期棋聖戦挑戦6
山下敬吾 棋聖
黒中押
羽根直樹 天元
2004年3月17日
第28期棋聖戦挑戦7
羽根直樹 天元
黒中押
山下敬吾 棋聖
2004年7月29日
第52期王座戦準決勝
山下敬吾 九段
黒半目
羽根直樹 棋聖
2004年11月4日
第30期天元戦挑戦1
山下敬吾 九段
白4目半
羽根直樹 天元
2004年11月12日
第30期天元戦挑戦2
山下敬吾 九段
黒1目半
羽根直樹 天元
2004年11月26日
第30期天元戦挑戦3
山下敬吾 九段
白中押
羽根直樹 天元
2005年6月30日
第53期王座戦本戦2
山下敬吾 天元
黒中押
羽根直樹 棋聖
通算成績 羽根直樹棋聖9勝 山下敬吾挑戦者18勝